2019年9月 宇和島市

闘牛場

闘牛という競技があるのは知っていたのだが、今時、闘牛なぞ流行らないだろうと思っていたし、一部の地域でしかやってないので闘牛場に行くことなぞないと思っていた。しかし、なぜだか今回訪れるはめになった。

その日は行くあても無く宇和島をブラブラしていたのだ。すると目の前に龍光院というお寺がありその墓地が山の上へとずっと続いているのである。
こんな雰囲気のいい道は歩かねばならぬ、と思い坂道を上がって行ったのである。墓地を清掃する人達の合間をぬい登り切った先にあったのが、まるでサーカス場のような建物の闘牛場であった。

龍光院は伊達秀宗が宇和島へ入部したときに、宇和島城の北東の鬼門を鎮めるために建立され伊達家の祈願寺と定められました。お寺からは宇和島城がよく見え、ここから城に向かいお祈りをしていたことがしのばれます。



山の頂上まで行くと車道に合流します。しばし歩くと見えてくるのがドーム状の建物で、少しハイカラな遊技場のように見えます。

明治から昭和初期にかけて、規制されたり再開されたりをいくどか繰り返し、現在の全天候型ドーム闘牛場ができたのは昭和50年のこと。
平成7年には無形民俗文化財に選択され、平成27年に全面改修を行った。
年間5場所が通常開催で、数年に一度は全国闘牛大会というものも開催しています。さらには観光闘牛というものもやっているし、牛主も募集しているようです。

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闘牛場の開催日は10時開場ですが、この日は開催していないので9時からの開場でした。
入場すると牛鬼の面が出迎えてくれ、まわりには横綱のマワシや賞状などが飾られておりました。私が見た時は神奈川県の会社が牛主の横綱のマワシが飾られていて、色んな所にファンがいるもんだと感心しました。


歓迎看板の後ろにまわると観客席となっていて、丸い土俵が目に入ってきます。巨大な牛が戦うのにはあまりにも心細い竹の柵ですが、激突することはあっても壊れて外に飛び出ることはないそうです。
天井のテントは外の明かりを取り入れるためで、パイプは排水用に使っているらしい。
ここで土俵を眺めていると館員の方が来て、VRがあるんですけど見ていきませんか?という宇和島らしいおっとりとした感じで聞いてきたので、見せてもらうことにしました。

正面には二頭の大きい牛が対峙しています。頭を突き合わせ、目は上向きに血走り、角を相手に当てるように小刻みに頭を動かしあい、時々、一気に押したり横に交わしたりという動きがでてきます。
牛の隣では勢子と呼ばれる牛を操る人が、地面を大きく踏み鳴らしたり牛を叩いたりして気合いをつけています。
VRでは音や振動が無いので迫力は伝わってきませんでしたが、どのように行われているかというのは分かりました。観客もたくさん見ていて繁盛しているように見えました。

上写真は場外の牛待機場です。この場所にいるときは牛同士喧嘩をしたりすることはないが、リングに上がると闘志が湧いてきて戦いになるそうです。昔はここに一杯埋まっていた牛達も今は全部埋まることは無いとのこと。
時代の流れには合わないと思われる闘牛ですが、7月の和霊大祭場所ではホテルも取れないくらい混み合うとのこと。闘牛の見学に来るなら和霊大祭じゃない日がいいかもしれないと教えてくれました。

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上に掲示のパンフレットにルールと技表が載っています。時間無制限で逃げた牛が負けとなり、体力が尽きて負けるだけでなく戦意を失って負ける牛もいるようです。だいたい舌を二回くらいべロッと出したら疲れ果てて負けると言われているが、たまにそこから挽回することもあると聞きました。
今までまったく興味をもったことの無い闘牛でありましたが、闘牛場に訪れてみると、一度でいいから戦っている生の迫力を感じてみたいと思いました。
牛の生存本能を利用して戦わせているのですが、本能だからこそ、人のスポーツ競技では見れない必死さがでて、観るものをより熱狂的にさせ普段とは違った興奮を感じれるような気がします。

宇和島に来た時には是非訪れてみてはいかがでしょう。南予のおっとりとした人達が闘牛の時には人が変わったように激しく変わる、そのような光景も非常に楽しませてくれると思います。



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